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齋藤千裕さんに

開演直前インタビュー

楽屋訪問101


 劇団銅鑼公演「おとうふコーヒー」鳴門例会(2022年7月8日)で“永谷瑞樹”役をされる齋藤千裕さんを開演前の楽屋に訪ね鳴門市民劇場がインタビューしました。

齋藤千裕

鳴門市民劇場(以下鳴門と略) 劇団銅鑼の作品は2010年7月例会の「流星ワゴン」、2013年11月例会「はい、奥田製作所。2017年5月「からまる法則」以来、5年ぶりなので、とても楽しみにしています。
 本作品は、介護や老いの問題など重いテーマをユーモアたっぷりに描かれていると伺っています。この作品のすばらしさや魅力はどのようなところでしょうか?

齋藤千裕(敬称略 以下齋藤と略) この作品は現在と過去を行き来しながら、職員と身内とボランティアのみんなでふみ子さんを看取るまでに至るんです。一人ひとりの葛藤や悩みを、ふみ子さんと関わっていくなかで、ふみ子さんって一体どういう人物なんだっていうのをコミカルに描いているところが魅力の一つだと思います。

鳴門 演ってみられてどんな感想をお持ちですか

齋藤 役柄的に自分が演じる役は、ジェンダーの問題を抱えているふみ子さんの孫の永谷瑞樹という役なんですけど、齋藤千裕という僕自身も同じ問題を抱えていて、劇団で男優として仕事をさせていただているんです。役柄と自分がリンクする部分とかあって、でも永谷瑞樹とは違う人間だから、また考え方も自分と違うし、そういうところをどう自分が摺り寄せていくかとか、すごい一生懸命考えながらやってきました。
 特別養護老人ホーム「おさんぽ」の温かさがうらやましくてうらやましくて。僕は孫の瑞樹として、外部から来てる人間ではあるんですが、ボランティアとか所長の辻誠二という人間の温かさ、素晴らしさや、そこに集ってくる人たちはやっぱり温かくて優しくてうらやましいなと、自分もこういう所に居られたらいいなと思いながら演じています。自分の問題も抱えながら今劇団にいるんですけど、よくよく考えたら、自分を受け入れてくれる劇団そのものが「おさんぽ」みたいで、この作品に関われてすごく幸せだなと感じますし、学びといえば学びですね。

鳴門 今回、プロローグとエピローグも担当される非常に重要な役でそこも印象的と思いますが、他に好きなシーンやセリフがあれば教えてください

齋藤 好きなシーンは、先ほど「自分も性同一性障害です」と言ったのですが、この物語のなかでふみ子さんの記憶の一番古い場面なんですけど、瑞樹君が初めておばあちゃんに会いに「おさんぽ」に来た日のシーンがありまして、そのシーンがやっぱり思い出があります。自分の中でも葛藤しながら永谷瑞樹の覚悟とか勇気をどういうふうに表現できるかとか、すごく考えながら創ってきたすごく大切なシーンなので思い入れがあります。
 好きなセリフは、所長の辻さんのセリフで、「どうせ死ぬんだ、死にたいように死なせてあげないと」いう言葉と「晴れ舞台を、人間たった1回しか死ねないんだぜ」そのセリフがとても好きです。

鳴門 公演で鳴門に来られるのは初めてと思いますが、どんなことを楽しみにしているのか教えてください。

齋藤 鳴門の渦潮を一回は見てみたかったんですが、スケジュール的に難しいのであきらめようかなって思っています。徳島ラーメンを食べたいなって行ったんですが、お店が閉まっていてなかなか今のところ機会がなく、まだ数日こちらにいるので、何度かあきらめずにチャレンジしてみようかなと思っています。

鳴門 この世界に入られたきっかけを教えてください

齋藤 学生の頃、専門学校に通っていて、声優育成も行っている専門学校だったんですね。その中の声優科に通っていて、声でお芝居がしたいなってもともと目指していたところはあったんですけど。
 声での表現の仕事がしたいんだったら、「まず舞台で体を使って表現を覚えなさい と先生から言われて、確かにと思って、それで導きいただいて劇団銅鑼で舞台に。演劇部とかでなかったから舞台は初めてだったので、いろいろ学びながら吸収しながら今に至っています。 もともと声優志望ではあったんですが、今はどっぷり芝居、舞台の方にはまってしまってて、もうたぶん抜け出せないなってところにいるんですけど。

鳴門 仕事以外に趣味とか楽しみが何かありますか

齋藤 カフェ巡りが好きで、旅公演に行かせてもらうと、宿の近くや劇場の近くにもカフェを探して行ってみたりとかはよくします。紅茶が好きなんですけど、どうせ飲むなら寂しく宿で一人というよりもカフェがいいので探して、いいなと思う所に行ったりして、ちょっと気取った感じでパンケーキを食べてみたりとかしてます。

鳴門 福島のご出身ですが、徳島と福島の雰囲気が似ていると思うのですがどうですか

齋藤 同じ舞台に出ている宮田希美役の早坂聡美も同じ福島県出身なんです。彼女は違うんですけど、僕は会津出身で、舞台の仕込み終わってバスに乗っているときに、外を見ながら、「あれ地元に帰ってきちゃったね」なんてしゃべっていたところです。本当、すごく落ち着く感じなんですね。自分も地元大好き人間なので、静かな自然あふれるところが好きで、昨日会館に着いて、橋がある所や川がある所を歩いてきて、「ああここに住みたい」って。凄く素敵な場所にこられて本当に良かったと思います。

鳴門 演劇鑑賞会の活動について考えられていることと会員へのメッセージをお願いします

齋藤 コロナが始まってからは、娯楽と言われる演劇は大人数で観るものなので劇場に入りたくないとか観にいくのも難しいとかで観に行く側も大変で、やる側もいろんなことに気を使っています。(コロナに)罹っちゃうと中止になっちゃうし、お客様にも迷惑をおかけしてしまうというプレッシャーの中で、今こうやって四国に来させてもらってお芝居が今現在できているということをすごく幸せに感じています。それは鑑賞会様のお力添えのおかげだと思っています。一緒に作っていくという大事さをコロナのせいではあるんですけど、コロナのお陰でまた学べたというのがあります。感謝の気持ちを忘れずに、一人ではできないので一緒に舞台を作っていく大事さを共有しながら、楽しい舞台を続けていけたらと思います。本当にありがとうございます。

インタビューアー

E-mailでのお問い合わせは、         鳴門市民劇場ホームページ
nrt-geki@mc.pikara.ne.jp
まで。