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たかお鷹さんに開演直前インタビュー

楽屋訪問50

  文学座公演「殿様と私」鳴門例会(2011年12月4日)で“白河義晃”役をされるたかお鷹さんを開演前の楽屋に訪ね鳴門市民劇場がインタビューしました。

たかお鷹さん
鳴門市民劇場(以下鳴門と略)
やはり『王様と私』が彷彿とされるのですが、意識して演じられている場面などはありますか?
たかお鷹(敬称略以下たかおと略)
特に意識はしていません。『王様と私 』は西洋人が東洋人に英語の勉強をさせ、強引に西洋の文化を押しつけてしまうんですね。作家はそれが腹に据えかねて、日本にはちゃんとした日本人がいることを伝えたいという意識があったみたいですよ。なので、僕は原作をあまり意識していません。
鳴門
英語を話さないのに、英語と日本語のやりとりがコミカルでおもしろいですね。
たかお
全員が日本語でしゃべるといったところが、この作品の一番おもしろいところだと思うよ。アテレコの洋画を観ている感じかな。
鳴門
車夫が通訳をする場面のまどろっこしさが、またいいですよね。お屋敷やお庭・衣装もステキですね。和装・洋装と何着衣装を着替えられるのですか?
たかお
7回くらい着替えるのかな。もはやコスプレです(笑)
鳴門
一番お気に入りの衣装とかございますか?
たかお
全部気に入っていますよ。
鳴門
鎧は本物なんですか?だとしたらかなり重いのではないですか?
たかお
ええ本物です。舞台裏では、あの衣裳全部の着付けとかを1人の衣裳さんがやられているんですよ。
鳴門
衣裳について、たかおさんご自身でご意見を言われたりもされるんですか?
たかお
最初に衣裳を作るプランの段階では、少し意見を出します。一番いいのは、最後に着る羽織の胸の所に紋が入るんですが、それはたかお家の紋にしてもらいました(笑)。
鳴門
今回はダンスもご披露されますよね。
たかお
殿様は柔軟で器用な人なんで、ダンスも踊れるようになるんですよね(笑)。僕自身、ダンスが好きなんですよ。クラシックバレエやジャズダンスもやっていますからね。
鳴門
では、殿様と違って元から出来ていた訳ですね(笑)。
たかお
ですね。今年に入ってもミュージカルのような芝居で何曲か踊りましたしね。
鳴門
では、今回の芝居では、たかおさんが先生となり、若い子達に教えたりされたんですか?
たかお
いえいえ、そんなことはしませんよ。先生がちゃんといらっしゃいますからね。それに、みんな日舞やったりダンス習ったりしていますから。もうしばらくしたら、そこいらで一番年長の加藤武さんが、準備体操でヒップポップを踊ると思いますよ(笑)。
鳴門
ピップホップですか!たかおさんもご一緒に踊られるんですか?
たかお
僕は、踊りません。
鳴門
ミュージカルもやられるとの事ですが、ミュージカルとストレートプレイではどちらがお好きですか?
たかお
それは、ストレートプレイが好きですね。
鳴門
たかお鷹さんの一番好きな場面やセリフはありますか?
たかお
全部好きですが、やっぱり最後の場面かな。殿様とアンナ・カートライトがお互い言葉は全く通じないのに、感情は通じ合って滔々としゃべっていくシーンです。お酒を酌み交わしながら、日本語と英語で話しているのに、心が通じ合うとお互い何をしゃべっているか分かるんですよね。
鳴門
今回のお芝居はいろんなテーマをもったお芝居ですよね。明治維新の激動の時代で、娘さんの恋だったり、ノルマントン号事件だったり、家来の切腹だったり、殿様がダンスを踊ったり・・・。どの辺が、この作品の主なテーマだったんでしょうか?
たかお
芝居っていうのは全部そうなんですけど、それは観るお客さんが感じることなんですよ。だから、こんなテーマがあるからそれを観てくれっていう押し付けのある芝居は僕はあまり感心しません。よく台本を読んでこういう芝居だとおっしゃる方もいますが、結論はないんですよね。僕の大好きな井上ひさしさんなんて、自分で脚本を書いといて、稽古中に「あ、作家はこういうことを書きたかったんだ。なるほど」なんで言うんですよ(笑)。それほど芝居は動くものですから。まして、感じ方なんて人それぞれなんで、素直に感じるままに観ていただきたいと思います。
鳴門
では、たかおさんの中で、初演のころはこのように思って演じていたけど、今は違うなんて場面もあるんでしょうか?
たかお
多々ありますね。ありますが、最初に脚本を読んだときに感じたことが正解だったりしますね。いろいろ余計なことをして、「あ、最初に感じた通りに演じればいいんだ」って元に戻ることが多いですね。
鳴門
観る側もそうかもしれないですね。最初に持った感想がその人にとっての真実なんでしょうね。ただ、ひとつ聞きたかったことがあるのですが、結局殿様は最後には変われたのでしょうか?
たかお
変わっています。 変わったというか、要するに殿様が外国の文化を受け入れるようになったということですよね。なぜ受け入れたかというと、それは、殿様が受け入れたら、家族が幸せになると思ったからでしょうね。なので、娘の結婚も許すでしょうね。変わるというのは素敵なことですよね。誰かを受け入れるということですから。
鳴門
脚本自体が初演から進化しているんでしょうか?
たかお
いえ、脚本は初演のときのままです。それから僕たちはアドリブは一切使いませんからね、一言一句台本通りです。時には間違えますけど(笑)。確かに、初演の時と比べると、気持ちの表現の違いなんかで少しずつ変わっていることもあるかもしれませんが。
鳴門
ところで、コミカルで機敏な動きは、普段の鍛錬のたまものなのでしょうか?
たかお
踊りやパントマイムもやっていましたから。
鳴門
健康法などがあればお聞かせ下さい。
たかお
役者は倒れちゃったらお終いですからね。今は、大好きなお酒を控えています。
インタビューア
鳴門
お芝居のない時なんかは、どれくらい飲まれるんですか?
たかお
だいたい、ウイスキーなら1本ぐらいは。それでも若い時に比べたら3分の1ぐらいに減りましたね。今は、ホテルに帰って缶ビールを2本飲んだら寝ます。あと、健康管理として、自転車に乗るくらいです。
鳴門
長距離を乗られるんですか?
たかお
50キロくらい。
鳴門
かなり本格的なのでは?
たかお
ええ、レーシングチームに入っています。
鳴門
大会に出られているんですか?
たかお
それがね、まだ一度も出たことがなくて(笑)。出たいんですがスケジュールが合わなくて。
鳴門
旅に持って来られていますか?
たかお
例えば、大阪公演1カ月とかでしたら持って来ますけど、今回は毎回移動しますからね。
鳴門
劇団の方もご一緒に?
たかお
レースはしないですが、僕の影響でレース用の自転車を買った若者はいますよ。でも、一番の健康法は、こうやって毎日芝居していることだと思いますね。
鳴門
ブログにみんなで誕生日をお祝いしている様子が書かれていたのですが、普段から仲がいいんですか?
たかお
あの、、、退屈でしょ?3カ月も旅をしていたら(笑)。なのでボウリング大会をしたりして、みんなで楽しんでいるんですよ。
鳴門
お上手なんですか?
たかお
この前は準優勝でしたね。
鳴門
すごいですね。スコアは?
たかお
175、176くらい。これでもハンデ25もらってるんですよ。上手いヤツは200ぐらい出しますからね。あとは、みんながハモニカを持っているんですよ。で、バンドを作って音楽をやってみたりね。1人ハモニカのプロのヤツがいますからね、せっかくそいつがいるんだから、やろうぜってことで。ブルースハープなんですよ。
鳴門
カッコいいですね!私達が聞く機会はありますか?
たかお
ないですね(笑)。
鳴門
今日の交流会で是非お聞かせください。
たかお
交流会は、誰が行くんだっけ?(参加者を確認されて)あー、ちょっと無理ですね(笑)。
鳴門
そうなんですか、残念です。そろそろ、お時間になったので、最後に鳴門市民劇場の会員へ一言メッゼージをお願いします。
たかお
僕らにとって演劇鑑賞会っていうのは 宝なんですよ。九州や四国をまわって大勢の人にみてもらえるのは、演劇鑑賞会という組織のおかげだと思います。鑑賞会がなければ我々は生きていけません。なので、我々からもお願いします。どんどん会員を増やしてください。そして、僕らもどんどんいい作品を作っていきます。
鳴門
今日は本当にありがとうございました。 【インタビューの後、ホワイエにて雑談している私たちの所に、たかおさんがおひとりでやって来て……】
たかお
ところで、君たちは交流会に参加するの?
鳴門
はい。
たかお
そうなんだ……。(思わせぶりに去っていく。)
【交流会に参加された方はご存知でしょうが、見事なブルースハープのセッションを交流会にてご披露いただきました。例会でお疲れの後も、私たちを楽しませていただきまして本当にありがとうございました。忘れられない夜になりました。】
たかお鷹さんとインタビューア

E-mailでのお問い合わせは              鳴門市民劇場ホームページ
nrt-geki@mc.pikara.ne.jp
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