劇団スイセイ・ミュージカル

『夢があるから!』ワークショップ in 鳴門

2006年6月24日13:00〜15:00 鳴門市老人福祉センター3階

松井みずきさん(制作)、西田直木さん(演出)、吉田要士さん(進藤健役)、中村香織さん(桜井まゆみ役)による、劇団紹介、作品紹介、ビデオレター披露、ミニコンサート、みんなでゲーム、口周りの体操、最後は、「夢があるから!」のテーマ曲をみんなの気持ちをひとつにしての大合唱と、息つく間もなく楽しい2時間でした。

劇団スイセイ・ミュージカルのみなさん
(1)
挨拶(松井)
2年前、徳島での企画説明会でこの作品を説明しました。その後、例会にとっていただけたと聞いたときには全員感激の涙を流したほどです。昨日のことのようですが、それ以来、この日を待ちわびていました。
(2)
自己紹介
 
松井
制作の松井みずきです。
 
西田
昨日徳島市民劇場事務所で、ヒル・ヨルの2回、ワークショップをやってきました。今日は広い会場なので、十分身体を動かせますね。昨日はワークショップ後交流会もあったのですが、そのとき鳴門わかめを生まれて初めて食べました。わかめなんて何でも同じと思っていたのですが、あまりのおいしさにびっくり、感動しました。我々は芝居で皆様を感動させたく思っています。今日はお会いできてすごく嬉しいです。思えばこの作品は1999年の東京公演のとき、鳴門市民劇場の幹事さんに観ていただいたものです。例会前にこうやって皆様にお会いできると、「一緒に作品を作っている」と実感できます。
  今年「夢があるから!」は中部・北陸地区16団体からスタートしました。その後、神奈川へ行き、四国に来て、その次は千葉というスケジュールです。この作品は、先日、全国の全例会作品中第8位に選んでいただきました。ミュージカル部門では1位でした。これまでは首都圏中心の公演で、ブロックでの演鑑公演というのは今年が初めてです。昨年岡山市民劇場の50周年ということで「フェーム」をやったのですが、岡山市民劇場の投票で、新鋭賞をいただきました。役者個人にいただく賞ではなく、劇団全体にいただく賞としては初めてでした。中部北陸公演で30ステージあったのですが、どの組織でも年間アンケートで1位をいただきました。
  今日のようなワークショップはよくやりますが、内容については、団体の希望をもらってやっています。今日は「鳴門スペシャル」です!
 
吉田
ケンという役をやります。
 
中村
まゆみ役です。
松井みずきさん 西田直木さん 吉田要士さん 中村香織さん
制作
松井みずきさん
演出
西田直木さん
進藤健役
吉田要士さん
桜井まゆみ役
中村香織さん
(3)
資料を用いてのお話
 
西田
では、配布した資料のp2からp3をご覧ください。劇団スイセイミュージカルの歴史についてお話します。1995年〜1997年は「劇団」ではなくただのプロデュース スイセイミュージカルでした。プロデュースというのは、劇団員がいるわけではなく作品ごとにスター役者やスタッフを集めて公演する団体です。なので、作品を「育てる」ということができません。そういったやり方に疑問を感じ、1998年に「劇団」としてスタートしました。しばらくはまだ、継続してプロデュース作品もやっていましたが、劇団員が集まって話し合いをするというスタイルは、全くそれまでとは異なりました。その後、目指すことや考えの違いから2つに分裂するのですが(2000年)、2001年に、現在の形で再スタートを切りました。実は「夢があるから!」は、「My Dream〜夢があるから〜」というタイトルで今陽子さんらの出演で1999年にやったのが始まりなんですが、これをリメイクし、3ヵ月後、タイトルも現在の「夢があるから!」としました。これが本当の初演になります。
  劇団スイセイミュージカルでは、年に1回の大イベントとして「ミーティングフェスティバルウィーク」と称するものをやっています。フェスティバルとはいうものの、内容は1週間丸々会議づけ。曜日ごとにテーマを決めてとことん話し合います。シンポジウムなんかもあるのですが、去年、通しの議題として「劇団の基本理念」を挙げました。そしてできたものが、資料の裏表紙に示したものです。「夢があるから!」は代表作ですが、「基本理念」にある「平和」と、この「夢」という言葉が我々のキーワード。資料で、作品紹介をしているp4にも、「『夢』は平和だからこそ持つ事ができる....」とあります。
 
吉田
では、そのp4も見ながらストーリーを紹介します。1幕はニューヨークとラスベガス、2幕は日本が舞台の芝居です。中川久美という14歳の少女が誕生日のプレゼントとしてミュージカルのチケットをもらうところから話は始まります。ステージを観た久美は、一度にミュージカルの虜になり、ダンサー、振付師の道へ進もうと決心します。ところが父の大反対にあってしまう。なぜなら久美の父親も夢を持って渡米したのですが、人種差別で苦しんだ経験があり、同じ苦しみを味わわせたくなかったから。それに加えて、娘がショービジネスの世界で生きるなんてことも、父親にとってはとんでもないことに思えたのです。でも久美はそれにもめげず前へ進みます。スザンヌ・ハーパーという、久美に、後日大きな影響を与える女優が出てきます。2幕目は日本が舞台。NHKで「ステージ101」という番組がありましたが、久美はその番組構成と振付を担当していました。そんな久美に次に襲い掛かってきた苦難は、その当時の大女優から受けるイジメでした。作品では大海原朱里江という架空の大女優が登場します。実際芝居を観ると、「あの女優のモデルは誰?」とよく尋ねられるのですが、中川久美先生の話では、「架空だけど、実際、あの時代の大女優さんはみんなあんな感じでしたね」。
 
西田
朱里江は、「自分という大スターをどう見せるか」に重点をおき、他方、久美は、「作品の内容とテーマを伝える」ことに重点をおく、それでぶつかり合います。当時は、スターに対してスタッフが注文をつけるなどということはありえなかった。芝居の中でこの2人のやりとりは、なんだか大げさで漫画チックに見えるかもしれませんが、本当にあった話です。実在している言葉のやりとりが台本になっています。
 
吉田
ウラ話なんですが。実際にある大女優さんと一緒に稽古をする機会があったときのことです。稽古が始まるや否や、何かご機嫌が悪かったのか、その方はいきなり「今日はやりたくな〜い」と寝そべってしまったんです。結局その言い分がとおって、たくさん集まったというのにその日の稽古はそれで終わりました。笑い話みたいですがホントの話。
 
西田
芝居作りのとき、たとえば台本では真昼間に娘がお茶の間に帰ってくるシーン。ある女優さん、そういたシチュエーションではありえないようなドレスを、自分に似合うから、今着たいからといって着ようとします。髪型も場面を考えないわがまま放題の注文。でも、拒めば「役を降りる」などと言うので、希望どおりの想定で台本を書き換えざるをえなくなることもあるんです。その他、笑えない話としては、別のある大女優さん、その日の公演は小さく古い会場だった。しかもお付きの新人2人のうち1人が風邪でダウンしたんです。そんなすべての状況が気にくわず、残った1人の新人女優に、「出て行け」と言ったり、小道具等を投げ捨てたり散々な態度をとった。そんな話も実際にあります。・・・ですから、「夢があるから!」での朱里江のひどい言動も決してウソの話ではなく、実際にあることとして見ていただいていいです。それでもね〜。「朱里江」は何故かお客さんに大人気なんですよね、いつも。公演後は、みなさんが握手を求めたりして、「朱里江」の周りにはすごい取り巻きができます(笑)。
 
吉田
「あらすじ」に戻りましょう。久美は、こんな風に、アメリカでは「日本人」としていじめられ、日本では「アメリカ帰り」としていじめられます。でも、久美の心の中には大切な言葉として....「私には夢があるから」がいつもあるんです。
 
  ★
p6、p7で登場人物の紹介
 
  ★
「ビデオレター」で、吉田潔さん(星野晃役)、佐藤志穂さん(スザンヌ・ハーパ ー役)、相原奈保子さん(大海原朱里江役)、福島桂子さん(中川久美役)からのメッセージ披露
 
吉田
久美を一生のパートナーとしたいと思いつつなかなか踏み出せない男の役で す。
 
佐藤
この作品は7年目。再演のたびに愛し育ててきました。
 
相原
〜「大海原朱里江」のままで登場し、“魅力”を披露〜
 
福島
久美は前向きでバイタリティあふれる女性。この作品で、1人でも多くの人に元気をあげたい、そういう作品です。実際の中川久美先生は、自分の初舞台で振付をつけてくださった先生。その先生の役ができるなんて感激です。
 
吉田
「大海原朱里江」は衣装もメイクも、迫力がすごいでしょう(笑)。例会当日もきっとあの姿で、終演後皆様をお送りすると思いますよ(笑)。
  さて、劇団スイセイミュージカルは、今は「広い宇宙の中で」をやっています。名古屋、東京でやってきて、明日は大阪です。吉田要士と中村香織主演です。あと、旺なつきさんも出られます。旺さん(「花よりタンゴ」で来鳴)、鳴門の皆様によろしくとのことでした。
  実は、今ビデオレターに出た佐藤志穂、福島桂子、相原奈保子、そしてこの中村香織の4人みんな、演劇鑑賞会の会員だったんですよ。
 
中村
広島市民劇場会員でした。高校生の頃です。こういう形で、自分が今度は役者として会員の皆様とお会いできることがすごく嬉しいです。何処に行っても、「スイセイミュージカルを応援してくれている鳴門のみなさんには感謝しなさい」と言われてきました。本当に感謝しています。
 
吉田
僕は横浜出身で、今思えば、演劇鑑賞会のポスターなど目にしてはいたんですが、本当に演劇鑑賞会のことを知ったのは、スイセイミュージカルに入ってからです。今は、小さい頃から(演劇に)親しむってのは大事だと思いますし、演劇鑑賞会は「みんなで一緒に作品を作っていくことができる」ところがいいと思います。たとえば、僕らはまた明日から例会日まで稽古に励み、みなさんは、席割りとか例会の準備をしてくださる、そして例会当日に再会して、ひとつの舞台を仕上げる、この魅力が大きなものではないかと思います。
 
西田
晃役の吉田潔は、元劇団四季の人間で、キャッツは3000ステージとかをこなしています。今回の作品の振付は彼がやりました。唯一、2幕の「ステージ101」の振付だけ、実在の中川久美先生がされています。
 
吉田
そんな中川先生のプロフィール等はp8〜p9にあります。また、p10〜p11には、話の舞台となる時代の年表が載っています。70年代のヒット曲なども出ますよ。
 
西田
アメリカではまだ人種差別(東洋人に対する...)があった。中川先生によれば、先生のアメリカでの生活は特にひどいものではなかったらしいですが、一番つらかったこととして、次のようなエピソードを挙げられていました。町を歩いていて見かけた「空き室あります」のような広告の下に小さく注意書きで、「Pet OK, Oriental(東洋人)OK」とあったというんですね。ほかのつらいことは忘れられても、このとき受けたショック、傷はどうしても癒えない、涙が出るそうです。そういう扱いだったのかと....。
 
吉田
次にp12〜p13を見ていただき、2002年に北京芸術祭に日本代表として参加したときのお話をさせてください。
 
西田
この芸術祭は、中国の文化部主催で1ヵ月間行われるもの。その年、日本からは東京交響楽団とか和泉元彌さんなどが参加されていました。ブロードウェイからも大勢来ていて、まさに夢のような企画です。我々は2週間滞在しました。翌年2003年はあのSARSの大流行年ですから、この年に行けてよかったんです。でも、この年は、瀋陽の中国領事館事件があり、反日報道が多くなされ、日本人が居辛い空気がありました。問題の瀋陽にも行く予定だったのですが、大使館からはこれ以上面倒見られないといわれ、大使館は閉鎖となってしまうし、困った状況に陥りました。それでも、予定は敢行しました。
  北京公演のとき、幕が上がると、日本とは全く違う観客の反応に驚きました。ブロードウェイ的。まだ中国にミュージカルは根付いてはいなかったはずなのに、とにかくすごかった。1幕の最後、スザンヌが日本人に「真珠湾攻撃、あれは日本が卑怯だった」と言うシーンがあったんです。すると場内が一斉にすごい騒ぎになってしまいました。観客が皆「そうだ、そうだ」という意味の叫び声をあげたんです。戦争を知らない世代も含むいろんな世代の観客だったというのに、全員が自分のこととして「抗議」しているんです。恐怖とともに、「教育」の違いを実感しました。日本人と違って中国人はみんなが戦争を自分のこととして受け止めていると、考えさせられました。また、2幕は羽田空港で、その頃の高度成長期の日本を歌うシーンから始まるんですが、今度は逆に、客席は一斉に「冷めた」雰囲気になりました。当時の中国はまだ苦労をしていた、なのに何が高度成長期だ、という感じでしょうか。「日本はいい気になっている」と受け止められたのです。再び、その当時を知らない若者までが同調していました。それで、その後急遽、徹夜で歌詞や台本を書き換えました。配慮の足りなさを実感した一件です。国外に出て、こういったいい勉強をしました。
  瀋陽の方は、北京とは違って、「字幕」なしで日本語台詞がわかる人が多いんです。町は、北京では日本語が横行しているのに瀋陽では一切日本語を見かけないことと対照的でした。劇場の扉に警備がついたり、物々しい雰囲気の中での公演でした。何とか公演は無事終了し、最後はスタンディングオベーションまで出たのですが、それでも途中、声を上げる人、音を立てる人がいて不安な面もありました。なので、公演後役者がロビーで見送りをしているとき、「何か」あってはたいへんと、自分は身を硬くしていたんですが...。そのとき近づいてきた80歳代くらいの方が、なんと自分の手を固く握り、涙を流してたどたどしい日本語で「ありがとう、とってもよかったよ」とおっしゃってくださったのです。即座に自分の「鎧」をすべて脱ぐことができました。演劇の持つ力を体感したのです。本当に、中国公演の話はこのほかにもキリがないほどあるのですが、このへんで。
(3)
ミニコンサート(6曲をご披露)
「夢があるから」
「It's So Dynamic」
「薔薇色の時」  −以上、「夢があるから!」より
 
 
「一度だけの人生」
「広い宇宙の中で」−以上、「広い宇宙の中で」より
 
 
「Corner of the Sky」
ミニコンサート
(4)
ゲーム・・・「もしもしかめさん」の歌に合わせて....
  ★
2人組みで....
 
  ★
全員で輪になって....
みんなでゲーム みんなでゲーム
 
(5)
口周りの体操(資料を用いて....)
 
(6)
全員で、テーマ曲「夢があるから」の練習
 
 吉田要士さんの生ピアノ伴奏でサビを練習。みんなで、通しで大合唱!
『夢があるから』
♪なんども夢は 傷ついたけれど    ♪いつでもこの胸に いだいてきた 今日まで
♪これから先も 私たちの道       ♪照らしてくれるでしょう どんなときも 明るく
♪夢があるから 夢があるから 希望を道づれにして
♪夢があるから 夢があるから 歩き続ける
♪夢があるから 夢があるから あしたが信じられる
♪夢があるから 夢があるから はばたこう 今
大合唱 大合唱

参加者の声

  ★
みんなの心をつかむのが上手ですね。ここに居る人全員の気持ちがひとつになれた気がして、よかったです。
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元気が出ました。「歌うこと」が大好きなので、思う存分楽しめました。
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ゲームと歌が楽しかった。
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ミュージカルを観たことがないんですが、例会が楽しみになりました。役者さん、歌が上手ですね。
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楽しかった。作品によるかもしれないが、これからもこういったワークショップをやればいいと思う。
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役者さん、男前だし美人だし、それだけでも感激しました(笑)。多芸でどんなことでもやるし、いったいどんなバックグラウンドの人が役者になるんですか?地方になんか滅多に来てくれないんでしょう?よかったです。
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プログラムの内容がバラエティに富んでいてよかったと思う。
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楽しかった。ひとつだけ、ゲームで「他人の靴」をさわらなければならないことだけ、嫌でした。ほかのモノを使えばよかった。
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みなさんイキイキしていて楽しかった。例会が楽しみになった。
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ゲームには参加できなかったけど、見ているだけでも大笑いできた。
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よく来てくださったと思います。メンバーがよかったですね。
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よかったですが、こんなに長い時間と思わなかったのでちょっと困りました。
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こんな資料までいただいて、劇団の歴史や理念をお話くださって、本当に真剣に取り組んでいることがわかってよかったと思います。始動してからわずか10年なんでしょう?すごいですね。がんばっている様子がひしひしと伝わりました。いきなり例会に行って芝居だけを観るのと、こうやって事前にお会いしていろんなことを聞いて、十分な親近感をもって芝居を観るのとは全く違いますね。演劇鑑賞会のよさですね。代表者会自体に初めて来たのですが、よかったです。

E-mailでのお問い合わせは、         鳴門市民劇場ホームページ
nrt-geki@mc.pikara.ne.jp
まで。