戯曲 赤い月

鳴門市民劇場感想集

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小説「赤い月」の上下巻を狭い舞台で、三時間と云う制約の中、よくこれだけ演出できたものだ。さすがは文学座、力の入れ方が良く解り大へん良かった。
自分の母親波子をあそこまで描いた、なかにし礼の心中を思うとこんな悲惨な歴史を二度と繰り返さないよう次の世代へ伝えていく責任の重大さを思った。

セリフの聞きとりにくい所がありましたが、見ていて苦しかったですが、よかったです。
理不尽な死を受け入れなければいけないような時代を生きた人々に言葉も有りません。私自身あの時代に生きていたら、獣性をむき出しに暮らしていたかもしれないな〜等と考えてしまいました。見てよかったです。

最近、子供虐待等で子供を大事にしない事がよく報道されています。自分が生きるのもたいへんな時代、戦中、戦後の食糧難の生活の中で子供を守った母としての生きざま、又、女性としての愛、愛により生きる姿を久々に感じました。

テレビで見ていたあの長いドラマがどんな舞台になるのか興味津々でした。さすがなかにし礼さん、すぐにグイッと引き込まれました。戦争中の事、リアルな引き揚げ場面、そして波子さんの母としての力強さ等、テレビドラマで見るよりずっと真に迫って来ました。憲法九条に対する最近の世の中の動きに不安を感じている私としてはたくさんの人にこの劇を観てほしいと思いました。

暗い舞台でしたが波子の生きざまは良かった。
本を読んでいたので内容は理解できたけど戦争を体験した人は偉いですね。今、韓国ドラマにはまっています。
平さんはきれかったです!

戦後60年、忘れてはならない、語り継がないといけないことなのですが、舞台も暗く、声もとおりにくかった様に思いました。一生懸命の訴えはとどきますが、観た後にやりきれなさが残りました。

母親としてのたくましさを感じました。戦中、戦後生きるのさえ精一杯の中、母として妻として生き抜いていくその源は何か。「母であろうとする力を与えてくれるのは愛」それを追い求めてきた一人の女性の生き方に感動を覚えます。
本「赤い月」を読んだがそれにもまして。演出の巧さを思わされました。

物語りも舞台も暗くて好感がもてなかった。

原作のすばらしさと演出の進め方がよかったと共に平さんの演技に支えられ重みのある深い感動を与えられた劇でした。

戦後60年の節目を向かえた今、戯曲「赤い月」を観劇して、苦しかった戦争の時代を思い出しました。
私の幼い記憶のなかで満州、上海事変という言葉が残っています。牡丹江、ハルピンなど満州へたくさんの人達が渡り、成功を成し遂げたという話を耳にしました。でも昭和20年8月15日無条件降伏を期に、日本は敗戦国になり外地から多くの人達が引き揚げてきました。満州から母と幼い姉妹と共に引き揚げてきた時の様子を、友達は「赤い月」の場面と同じ逃亡生活、それ以上の厳しい、恐ろしい体験をして帰国したといつも話してくれます。内地にいた私も昭和20年7月4日徳島空襲に遭い、焼夷弾の落ちてくる中を逃げ惑い、母と姉、生まれたばかりの姪たちがたどり着いた吉野川堤防の光景は、肉親、知人など求め合う人達の姿で地獄絵図のようでした。今も私の脳裏に焼きついています。
主人公波子と同世代を生きて、戦争は人々の人生の運命をかえ、心に傷をのこし多くの人を不幸にする。絶対に戦争は反対です。
波乱万丈の人生を生き抜いた波子に感動しました。
母は強し。女は強し。

この劇には私自身の生き方を問われたように思います。
前世も、今も、そして来世においても理想主義の旗を掲げている様に感じました。

改めて戦争の悲惨さとみじめさを知りました。

戦争を体験していない者にとっては、生々しくはじめは恐怖を感じましたが,観ている内になんと自分は幸せなんだろうと思いました。明日から考えを改めなければと……。
戦争は二度とおこってはいけないと思いました。

波子という女性が女として母親として力強く生きたか、とてもすばらしく演技ができていたと思います。平淑恵さんがテレビで見ている時より一段と大きく心に残りました。 舞台写真

何が何でも生きようとした波子には、もちろん自分には真似できないと感じるほど心打たれましたが、尊厳のために死を選びたいと言った氷室の言葉に魅かれるものがありました。
後半の氷室の傷ついた姿は、イラク戦争で(雄々しいようにみえた)アメリカ兵も本当は、帰国後、狂った精神をもて余した人が多いという報道番組を思い出して胸が痛みました。
戦争は何も生まない。

最初はストーリーの転回が早く理解がおそかったけど最後はすごく感動しました。

遠い昔、子供の頃を思い出し、話しに聞いたのと本日の観劇で少しの違いがあったと思います。

原作、脚本を読んで観劇日を迎えた。さすが、なかにし礼さん自身の戯曲化で長編を見事に3時間の舞台に生き生きと表現されており、感心した。
役者さんも何役もこなされ、文学座初演物に皆さん一心に取り組まれている様子がうかがえた。平淑恵さんの一人の女性、妻、母としての演技も見事力演!!杉村春子さんの後継者としての面目を示されていたと思う。
歴史の中に必死に「生きる」ということを改めて知らされた思いがした。

映画を見ていたので、劇場での違いが良くわかりましたが、
それがなければ少しむずかしいと思いました。

戦争というものの酷さをひしひしと感じられた力作、しかし暗く重く年令を重ねるてくると明るく楽しいものに憧れる。
科白の切れが少し悪かったようにも思われたのは残念でした。

気持ちに正直に生きるためのかっとうと本当の意味での生きる!生きながらえるたいへんさが作品によくでていたと思います。

さすが文学座の力作で、なかにし礼氏の思いが伝わり、3時間の上演時間を感じさせない舞台であった。

舞台演出はすばらしかったが役者さん達の声が小さく聞き取れなく、前から楽しみにしていただけにとても残念でした。

セリフが聞き取りにくく、その為か内容が複雑で解り辛かった。舞台としての面白さが余り感じられなかったような気がします。

とても重いテーマだが、役者さん達の熱演に舞台に引きこまれて“生きるとは”の自問自答の世界でした。早口のせいか、感情の高ぶりがセリフになって、細かい所が聞きとれなかったのが大変残念でした。

戦後育ちの私達ち、会員には意義のある作品であったと思うのですが、座席が後方のためセリフが少し聞き辛かったせいもあり、場面展開について行くのが難しかったかな?もう少し笑える場面も欲しかった。

2003年に映画で「赤い月」を見ました。広い満州の中で必死に生きる主人公の姿が焼きついていたので舞台では少々もの足りなかった感じが致します。でも女性は母親になると強靭に生きられるものですネ。

私と同世代の作者“なかにし礼”の作品というだけでなく私の父が満鉄の職員だったので、似たような体験もしたのかなーと思いながら観劇しました。
美しい母、波子に対する男達の視線や誘い、苦悩する父、勇太郎の姿、外地での生活も後半は戦争の影響をモロに受けそれでも母を中心に未来を信じ頑張る家族の絆が強く感じられた作品でした。
最初の船底の場面や列車の中の場面はリアルでよかった。

観劇した知人の方に感想を聞いたり、聞かれたりして一番いえることは、あの時代に生まれていなくて幸せだったと言うことでした。

くらかった。

太平洋戦争を子供から少女へとの私としては、苦い思い出がよみがえりました。
波子と子供のかかわりに芯の強い、しかも女を捨てない生きざまに感動しました。

映画版も見ましたが、生きようとする源、生きがいといったものを考えさせられました。

カーテンの移動や舞台の変動が巧みでその時代の明・暗・人間関係をさまざまに思いめぐらす重厚な演出に感動しました。特に合唱の場がすばらしい。
久し振りに脳細胞が活動した思い。
音声がたまには小さ目になったのが惜しい。

前向きで、たくましく、情熱的なお母さんですね。

原作者が戦争の語り部としての役割を果たすべく、全体を通じて暗い内容で終始していたのには感心しました。又、各舞台とも作者の体験した戦争の悲惨さ、無常さ、醜さ、恐ろしさ等々をこれでもかこれでもかと切々と強力に訴え、戦争はもうこりごりだということを、平和ボケしている我々に伝えなくてはならないという原作者の意図がこの演劇に込められていたのでしょうね。さらにまた現在の世の中、皆が一つの方向に向き、苦言の一つもいえない状況下で、この先どの方向に進んでいくのかを憂えているのではと考えさせられた演劇でした。

「わが子らを骨もあらわな背なにのせ生きて帰らん修羅となりても」この歌に母の思いのすべてが込められているようで、涙がにじんできました。子らを守って、生きて生きて生き抜いた母の強さに感動しました。

生き続けることの意味の深さを考えさせられる芝居でした。

原作は読んだことはないのですが、昨年TVドラマ化されていたし(みてませんけど)、なかにし礼さんが書きたかった内容ということでどんな作品かなーと楽しみに見ました。
が、うーん。小説としては自由奔放で身勝手でしたたかな女性の半生といったところでドラマチックな内容ですけど、もの悲しくつらい気分でした。何か希望があればいいのになと思いました。戦争は被害者、加害者に深い傷を負わせるものであり、さらに戦争や男女の愛憎というのは子供心に深い傷を負わせるものなのですね。見ていてつらかったです。なかにし礼さんはいい悪いは抜きにしてその幼少の頃に受けた体験をきっと吐露したかったんですね。彼は少しは楽になったのでしょうか?

「赤い月」は圧巻でした。主役の平淑恵さんの熱演にも気迫がこもっていました。国家の責任、戦争の理不尽さ、地獄をみた人々の苦しみ……などえぐり出されていて、スタッフの並々ならぬ思いが押し寄せてきました。多くの人に観て欲しい作品だと思います。
波子と同じ状況にもし自分がたたされたら、果たしてどんな行動を取っただろう??容易に結論は出そうにありません。

大変よかった。

満州からの引き揚げの人たちの苦労がいかに大変であったか、舞台より強く感じました。と同時に戦争は二度と起こしてはならないと思いました。

映画、テレビと「赤い月」は何回か観ていたので、舞台ではどんな感じだろうと楽しみでした。
同時に二場面が進行したり、舞台ならではの演出があってよかったです。

「赤い月」を書きたい為に小説家になった、なかにし礼さん、文学座で舞台化したいという平淑恵さんの手紙から戯曲化され、今年初演され四国で初の鑑賞団体への上演とか。小説も脚本も読んで期待していた。3時間という長い舞台であるが、激動の時代の満州、「生きる」ことの親子の相克、平淑恵さんはじめ役者さんの熱意あふるる演技に長さを感じさせなかった。
運営当番で迎えた例会で、いつも以上に燃えたのは会員拡大がかなったせいか!

場面が変わった時状況を理解するのに考える間を必要とすることが何度かあった。

元々、作詞家としての「なかにし礼」先生が好きでしたが、近年作家として小説を発表され注目していました。中でも「赤い月」はたいへんな反響をよび、映画・テレビ化され、ついに舞台公演になったということでたいへん楽しみにしておりました。まずは文庫本(上・下)をみつけ、それを読んでから観劇したためか、筋書きや登場人物の名前が頭に入っていて、スムースに劇の中に入っていけました。本を読んだ時には、あの壮大なスケールの内容を舞台でどこまで打ち出せるのか、演出できるのか…と思っていましたが、主人公の波子を演じた平さんの熱演、また、氷室、森田、大杉役の役者さんたちの個性的な演技のすばらしさによって、三時間が全く長く感じられないほどみごとな作品に仕上がっていて驚きました。
この「赤い月」は本年の上演ラインナップの中で三指に入るくらいの感激を与えてくれました。

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